リハビリテーション科外来では、脳卒中の後遺症などの痙縮に対してボツリヌス療法を行っております。
下記のような事でお困りの方はご相談ください。
脳卒中の後遺症、頭部外傷、脊椎損傷などが原因で、運動障害の一つに痙縮という症状があります。痙縮とは筋肉が緊張しすぎて、手足が動かしにくい、勝手に動いてしまう状態のことです。痙縮では、手指が握ったままとなり開こうとしても開きにくい、肘が曲がる、足先が足の裏側のほうに曲がってしまうなどの症状がみられます。痙縮による姿勢異常が長く続くと、筋肉が固まって関節の運動が制限され(これを拘縮といいます)、日常生活に支障が生じてしまいます。また、痙縮がリハビリテーションの障害となることもあるので、痙縮に対する治療が必要となります。
ボツリヌス療法とは?
ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。そのためボツリヌストキシンを注射すると、筋肉の緊張をやわらげることができます。ボツリヌス菌そのものを注射するのではないため、ボツリヌス菌に感染する心配はありません。
ボツリヌス療法の効果は?
ボツリヌス療法によって次のような効果が期待できます。
・手足の筋肉がやわらかくなり、動かしやすくなります。
・関節が固まって動きにくくなるのを予防します。
・関節が変形するのを予防します。
・リハビリテーションが行いやすくなります。
・痛みを和らげる効果が期待できます。
・介護の負担が軽くなります。
ボツリヌス療法を行った後、リハビリテーションを組み合わせて継続して行うことで効果が期待されます。
ボツリヌス療法の具体的な治療方法は?
目標とする筋肉の数カ所に細い針で筋肉注射をします。1回の治療は15分~30分くらいです。
ボツリヌス療法の治療スケジュールは?
ボツリヌス療法の効果は、注射後2~3日目からゆっくりあらわれます。通常3~4ヵ月間持続します。その後、数週間で効果は徐々に消えてしまうので、治療を続ける場合には、年に数回、注射を受けることになります。ただし、効果の持続期間には個人差があるので、医師と症状を相談しながら、治療計画を立てていきます。
ボツリヌス療法には副作用はあるの?
ボツリヌス療法を受けた後に副作用として次のような症状があらわれることがあります。これらの症状は多くが一時的なものですが、症状があらわれた場合には医師に相談してください。
・注射部位がはれる
・赤くなる
・痛みを感じる
・体がだるくなる
ボツリヌス療法の費用は?
当院で行う上肢・下肢痙縮の治療は保険が適応されます。1割~3割負担で治療が受けられます。注射を行う部位や、範囲によって費用が異なります。詳しくは、当院の会計窓口または医療相談室へご相談ください。
ボツリヌス療法実績
施行患者数 | |
---|---|
2017年度 | 159 |
2018年度 | 200 |
2019年度 | 266 |
診察の申し込みについて
ボツリヌス療法を希望される場合は、事前に下記窓口にお電話ください。医師が患者さんの症状を判断した上で、ボツリヌス療法の治療日を決定します。
*初診当日には治療できませんのであらかじめご了承ください。
・受付窓口(外来)
TEL :053-471-8337
問合せ時間 14:00~16:30