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高次脳機能センター

自動車運転外来

 自動車運転は、認知・予測・判断・操作といった総合的かつ瞬間的な認知および遂行機能を要求される、最高級の生活行為です。頭部外傷や脳卒中後の高次脳機能障害の患者さんは、これらの能力に障害がある可能性があるため、道路交通法により自動車運転を再開することは厳しく制限されております。一方で、社会復帰のためには自動車運転が要求されることがあること、バスや電車などの公共交通機関が発達していない地方においては車が生活の一部になっていることなどから、自動車運転を再開できないことは深刻なハンディキャップとなります。

 当院では従来から入院患者さんの生活、社会復帰の支援の一環として自動車運転再開を支援して参りましたが、高次脳機能センター開設に当たり、脳損傷後の自動車運転再開に不安を持っている患者さんのために専門外来を設けました。他医療機関からのご紹介にも応じております。

診療の流れ

対象となる患者

脳の損傷により身体に障害がある方、記憶障害がある方
脊髄損傷など身体に障害がある方
軽度の認知機能障害が疑われる高齢者の方

診察予約

予約制となります。お問合せはこちらをクリック

診察・評価

1.医師の診察
医師の診察にて、道路交通法上の免許証取得に必要な条件(身体機能、視機能、聴覚機能、てんかんの有無など)を満たしているか確認し、運転再開が可能か判断します。運転評価を行う場合には、医師よりリハビリの処方が出されます。

2.セラピストとの面談
これまでの運転状況について目的や頻度などの情報をうかがいます。併せて、脳損傷後の運転に関わる法律や当院での評価の流れを説明します。

3.神経心理学的検査(テスト)・シミュレーター検査(行動観察)身体機能評価を実施
リハビリの中で検査や評価を行います。検査では注意力、記憶力、視空間認知、半側空間無視の有無、遂行機能を確認します。身体機能評価では運動麻痺の有無、ハンドルやブレーキの操作に必要な筋力をチェックします。

4.実車評価
検査室内で行われる神経心理学的検査やDSのみでは判断が難しい場合に行います。評価終了後は、ドライブレコーダーに記録された映像を検証し、教官から危険場面の振り返りや、今後に向けてのアドバイスを受けます。その際、担当療法士も評価したポイントを伝えます。

5.担当者間での話合い
上記検査や評価結果をもとに、主治医とセラピストで話合い、安全な運転が可能か、医学的な視点での助言を行います。
※最終的な再開可否の判断は免許センターまたは警察署にて行います。

運転に特化した評価

SDSA 脳卒中ドライバーのスクリーニング評価 日本版

脳卒中後の運転技能に関する研修プログラムの一部として開発されたものです。安全運転に影響を及ぼす可能性のある認知機能の問題を明らかにする評価道具です。

VFIT

有効視野測定と脳(前頭葉)の抑制機能を測定する検査です。65歳以上はVFIT‐Elderly versionで行います。実車評価の結果と関係性が高く、当院では2016年2月から導入しています。

ドライビングシミュレーター

公安委員会や警察署で使用されているものと同機種で、より実車場面に近く、運転操作や判断力・予測力を評価できます。また、手動運転装置、左アクセル踏み替え装置も設置しており、脳卒中片麻痺や脊髄損傷の患者さんなど、様々な障害をお持ちの方に対応可能です。

HONDA製の最新鋭モデル「DB型Model-A」
運転能力の評価をサポートする機能が搭載された‘医療機関向け’本格シミュレーターです。実際の自動車運転シーンに近い環境で、認知・判断・操作などの運転に関わる動作や反応速度の測定データを数値化し、運転能力をより客観的に比較・評価することが可能です。3面モニターでより実車に近い操作感覚を体験できます。

介護保険領域(通所リハビリ) での支援

 当院では、退院後に高次脳機能障害による生活支援や、自動車運転再開・復職などの社会参加支援が必要な方に対し、外来通院によるリハビリテーションを実施し支援を行ってきました。しかし、2019年4月の診療報酬制度の改定により、要支援・要介護の認定を受けた方の医療保険での疾患別リハビリの実施が困難になったことから、介護保険制度で2018年10月より訪問リハビリを、2019年4月からは通所リハビリを開設し、支援を行っています。
 現在、認知症対策を含めた高齢ドライバーを支援しているのは、地域のケアマネジャーなどが個々に対応している場合がほとんどで、運転中止を含めた支援方法の確立を望む意見が聞かれています。当院の通所リハビリでは、本人と家族、ケアマネジャーと医療者による包括的な支援を目標としており、今後も地域で高齢者運転支援の場としての役割が期待されています。

トピックス

令和2年度浜松市医療奨励賞受賞
地域の医療向上に貢献した医師や団体を称える「浜松市医療奨励賞」に、昆センター長率いる自動車運転支援チームが選ばれました。
受賞論文はこちらをクリック

ケアマネジャー対象【自動車運転支援体験会】開催
2023年6月10日に地域のケアマネジャーさんを対象に「自動車運転支援体験会」を開催しました。
その様子は病院日記【2023】をご覧ください。

新聞掲載
2023年8月10日発行 中日新聞に新型ドライビングシミュレーター導入の記事が掲載されました。
2023年8月17日発行 日刊自動車新聞にセンター長 昆博之先生の執筆記事が掲載されました。