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リハビリテーション科

演奏家の運動障害診療

演奏家の運動障害診療とは

浜松は「音楽のまち」であり、老若男女多くの人が音楽に親しんでいますが、身体の痛みやしびれに苦しむ演奏家が多いことはあまり知られていません。音楽は重要な文化の一つであり、演奏家はそれを次世代に担う「無形文化財」といえます。
演奏家を護り支えることは、持続可能な文化的社会の実現に欠かせませんが、国内では治療を行う医療機関がまだ少ないのが現状です。
浜松市リハビリテーション病院では、演奏家の運動障害について専門的な治療を行うための診療を2020年に開始しました。リハビリテーション専門医を中心に、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が協力して、個々の状態に合わせた治療をご提案し、皆さまがよりよいパフォーマンスができるようサポートいたします。


1.スタッフ紹介

演奏家診療チーム

演奏家の診療においては、音楽演奏や脳の専門知識を持った院外協力の先生とともに、浜松市リハビリテーション病院のリハビリテーション科医師・作業療法士・言語聴覚士・理学療法士などチームで診断、評価・治療を行います。楽器演奏時に上手く指が動かない・上手く吹けないなどの症状でお困りでしたら、お役にたてるように、取り組んで参ります。お気軽にご相談ください。

院外協力古屋 晋一(ソニーコンピュータサイエンス研究所)
田中 悟志(浜松医科大学)
医師藤島一郎
重松 孝
小川 美歌
杉 貴文
作業療法士安間 真理子
北出 知也
上杉 治
加藤 怜嗣
杉山 善彦
甲斐 淳平
理学療法士小山 貴之
大木 雅智
波留 健一郎
言語聴覚士岡本 圭史
萩原 里恵
岩田 千奈

2.演奏家の局所性ジストニア とは

鑑別診断

演奏家の運動障害には,神経筋疾患、腱鞘炎、手根管症候群,局所性ジストニアなどが原因として考えられます。
診療においては、まず病歴の聞き取り、神経学的診察、画像診断などで疾患の鑑別診断を行います。
この中で演奏家に特異的な疾患として局所性ジストニアがあります。この局所性ジストニアは演奏家だけでなく、小説家が字を書くときだけに障害が出る「書痙」やプロ運動選手がある運動をするときだけにでるいわゆる「イップスの一部」などが知られています。

発症機序

局所性ジストニアは、脳のネットワーク障害と言われています。
脳の運動制御する部位(運動野や運動前野、感覚野、深部の大脳基底核など)に異常が起こり、筋肉への指令が影響を受けてしまい、思うように演奏ができないという症状が出現します。過度の長時間の練習や、環境の変化といったストレスも誘発因子であると言われています。

具体的症状

症状が演奏時のみ特異的に表れ、日常生活は問題なく送れるケースが多いことが特徴です。
そのため、診断が難しく「心理的なもの」「一時的なもの」と誤診され、発見が遅れるケースが少なくありません。

<主な症状>
演奏時に意思に反して指が曲がる、硬直するなどして、思うように演奏できない
ロングトーンができず吹く音が途切れたり,ピッチが不安定になったり,吹く音量の調節ができない

発症部位

演奏する楽器により症状の発現部位は異なります。
ピアノだけでなく、ヴァイオリンやギターをはじめとする弦楽器でも手指や腕に発症します。
また、「弾く」楽器だけでなく、トランペットやフルートなどの金管・木管楽器でも手指や口・舌に、ドラムやオルガンでは下肢に発症することがあります。

3.治療の流れ

診察(上)検査(下)の様子

①診察・検査
実際の演奏場面を通して、症状を把握します。
専門医の視点から、治療の方針や目標の設定を説明します。

②治療
状況に応じて入院または外来での治療となります。
状況によって治療内容や予定を変更する場合があります。
治療への不安やご要望がありましたら、遠慮なくご相談ください。
遠方の方やお仕事をされている方は、治療法についてご相談に応じております。
当院は365日リハビリテーションを行っており、正月、GW、大型連休などの長期休暇を利用した短期入院治療などを行っております。

以下にお示しするのは治療例です。 
例1 入院での局所性ジストニア治療
初日:入院手続、検査・診察
 ・治療方針説明
 ・ボツリヌス療法
2~8日目: リハビリテーション(土日祝も実施)
 ・tDCS (1日1回、20分)
 ・装具作成、装着下での訓練
 ・演奏姿勢の評価と指導
 ・故障予防の指導
 ・生活動作の指導(必要時)
9日目):最終評価、退院

例2 外来での局所性ジストニア治療
初日:検査・診察
・治療方針説明
・ボツリヌス療法
2~8日目:リハビリテーション
・期間中は※毎日来院し、治療をします(※平日のみ、土日祝は休み)
・tDCS (20分間)
・装着下での訓練(治療開始前に来院いただき作成することがあります)
・必要に応じて諸指導(演奏姿勢、故障予防、生活動作など)
9日目):最終評価

ボツリヌス療法

ボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を成分とする薬を筋肉内に注射し、筋肉の緊張をやわらげる治療法です。ボツリヌス菌そのものを注射するのではないため、ボツリヌス菌に感染する心配はありません。目標とする筋肉に細い針で注射をします。1回の治療は15分~30分くらいです。
注射の効果は投与後2~3日目からゆっくりあらわれます。
ボツリヌス療法を受けた後に副作用として、ジストニア症状のない部位の筋力低下が起こることがありますが、症状は一時的なものであり徐々に消えてしまいます。筋力低下により日常生活のしづらさが生じた場合は、作業療法士や言語聴覚士が相談に応じます。
注射の効果は通常3~4ヵ月間持続します。その後、数週間で効果は徐々に消えてしまうので、治療を続ける場合には、年に数回、注射を受けることになります。ただし、効果の持続期間には個人差があるので、医師と症状を相談しながら、治療計画を立てていきます。なお、ピアニストのレオン・フライシャーがこの治療を受け、演奏を再開されたことはテレビなどでも放送され、ご存じ中とも多いかと思います。

当院HP『ボツリヌス療法』を参照

tDCS(経頭蓋直流電気刺激)

tDCSとは、頭皮上に1~2mA程度の弱い電流を20分程度通電することにより、脳神経の働きを変化させる治療法です。罹患手側の頭蓋表面に陽極、罹患手反対側の健側手頭皮表面に陰極の電極を置きます。患者さんによってはピリピリと感じることやごく稀に僅かな発赤を認めることもありますが、世界中で過去20年間に渡りしようされていますが、重大な副作用の報告はありません。当院では、脳卒中の作業療法においてもtDCSを使用しています。リハビリテーションと併用することで、より高い効果の増大が期待されています。

当院HP『作業療法』参照

装具療法

演奏時のジストニアに伴う動きを抑えるための装具を作成します。tDCSやボツリヌス療法と併用することで症状がより抑制され、正しい運動パターンを脳が再学習しやすくなる効果が期待できます。
装具は熱可塑性プラスチックを用いて、作業療法士が患者さんに合わせてオーダーメイドします。

身体教育

発症の多くが、演奏時の身体の使い方や練習方法、練習習慣と関連するため、再発予防が大変重要となります。身体教育を通して演奏家自身が危険因子を正しく理解することで、再発を未然に予防できることが期待されます。
演奏科学の知識を持った知識を持った理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が古屋先生と共に演奏の動作分析を行い、演奏家ご自身と十分相談しながら最適な身体の使い方について検討を行います。

4.受診をご希望される方へ

演奏家の運動障害診療は完全予約制となっております。外来、および入院どちらでも対応可能です。
とくに遠方の方は事前に連絡を取り合って、外来診察を行った後、当日にそのまま入院治療となる場合もあります。

・受診をご希望の方は、地域医療連携室へ予約の電話をしてください。
・受診当日は保険証を持参し、当院の受付窓口へお越しください。
・紹介状(診療情報提供書)をお持ちの方は受付時にお出しください。

外来診療日毎週第1水曜日 14:00~15:00  
藤島医師または重松医師が診察いたします。
予約窓口浜松市リハビリテーション病院 地域医療連携室
TEL:053-471-8347
FAX:053-471-8302
予約受付時間/平日14:00~16:30